今さら聞けないクラフトビールと地ビールの違いとは?

クラフトビールと地ビール

最近ではスーパーやコンビニでも目にすることが増えた「クラフトビール」。一方、ひと昔前には「地ビール」という言葉がよく使われていました。この二つ、一体何が違うのでしょうか?今回は、「地ビール」と「クラフトビール」の違いについて、歴史的背景を踏まえて紹介します。

目次

地ビールとは何か?

地ビールは、1994年の酒税法改正をきっかけに誕生しました。この改正によって、小規模な醸造所でもビール製造が可能になり、日本各地で地域活性化の目的も含めて地域特産のビールが登場しました。地域の名産品を原料に使ったものや、観光のお土産として販売されるケースが多くありました。
1990年代の「地ビールブーム」では地域活性化や観光振興が主な目的で、味の品質は玉石混交でした。

クラフトビールとは何か?

地ビールブームの後、2000年代以降にアメリカで様々なビールが作りだされクラフトビールの人気が出てくるようになり、これまで日本では地ビールといっていたビール達が「クラフトビール」と呼ばれるようになりました。こうした背景から「地ビール」という言葉は次第に使われなくなり、「クラフトビール」という言葉が新しく定着していったのです。
クラフトビールは、少量生産で職人が丁寧に造るビールのことを指します。大量生産のビールは機械的に造られるため品質が一定で、どこで飲んでも安定した味わいを楽しめるのが魅力です。一方、クラフトビールは手作りのため一度に大量に造ることはできません。また、手作りならではの味のばらつきがあり、それが個性や面白さにつながっています。原料や製法へのこだわり、多様なスタイルがあることも特徴です。

クラフトビールと地ビールの違い

ということで実のところ、クラフトビールと地ビールには明確な定義の違いはありません。大きな違いは時代背景とイメージの変化です。地域特産品を活かした地ビールは観光要素や地域振興の色合いが強かったのに対し、クラフトビールはビール自体が主役となり、品質や個性が重視されているように思います。
地ビールの魅力は、地域の特産品を使用したユニークな味わいや、旅先での楽しみとしての要素でした。一方、クラフトビールの魅力は、ビールそのものの個性や醸造家のこだわり、ストーリー性です。どちらもそれぞれの楽しみ方があり、甲乙つけがたい魅力を持っています。

日本と海外におけるクラフトビール市場の動向

日本では、ヤッホーブルーイングなどがクラフトビールブームの火付け役として知られています。近年では、小規模なブルワリーが増え、専門のバーやイベントも各地で開催されるなど盛り上がりを見せています。
海外、特にアメリカでは1980年代から「クラフトビール」という言葉が広がり、ビール市場の重要な位置を占めるようになりました。アメリカの影響を受け、日本のクラフトビール市場も徐々に拡大しています。この数年で年間100ブルワリーが作られるほどに、毎年ブルワリーの数は増えて成長していっています。

クラフトビール・地ビールを楽しむためのポイント

そんなクラフトビールを楽しむために、まずは気軽にいろいろな種類を飲んでみることがおすすめです。最初は特別な知識はなくても、「これは美味しい」「これは自分に合わないな」と自分の感性を頼りに選ぶことが楽しむポイントです。また、クラフトビール専門店やブルワリー併設のタップルームやイベントに足を運ぶことで、スーパーには置いていない様々なクラフトビールを飲む事により、新たな発見や楽しさが広がるでしょう。
また、ビアバーなどではこだわりのビールをお店のスタッフに聞いてみるのもひとつかもしれません。

おわりに

クラフトビールと地ビールの違いは、時代背景やイメージによるところが大きいことがお分かりいただけたでしょうか。「地ビール」時代から「クラフトビール」時代へと呼び名は変わりましたが、職人たちのこだわりと情熱が美味しいビールを生み出していることは変わりません。ぜひ、この記事をきっかけに、是非クラフトビールを手に取ってみてはいかがでしょうか?

こだわり続ける地ビールという名称

クラフトビールと呼ばれている昨今で、今もなお地ビールという名称を使い続けているブルワリーも存在します。そんな、長いキャリアと確かな技術をもって飲まれ続けている醸造所へのリスペクトとして、そんな地ビールという名称を使い続ける醸造所(ブルワリー)をご紹介をして終わりたいと思います。

のぼりべつ地ビール 鬼伝説

北海道登別市の菓子メーカー「わかさいも本舗」が1998年に立ち上げたブルワリーです。登別温泉の名所「地獄谷」にちなんだ鬼をモチーフにしたビールを展開し、地域の文化や観光資源と深く結びついています。

大山Gビール

鳥取県西伯郡伯耆町にある「久米桜麦酒株式会社」が1997年に設立したブルワリーです。国立公園・大山の伏流水を仕込み水として使用し、地元の自然環境を活かしたビール造りを行っています。また、サイト内でも地ビールとうたっています。

伊勢角屋麦酒

「クラフトビール・地ビールの通販」と表現されており、自らのビールを「地ビール」として位置づけています。1997年に創業し、地元伊勢の文化や素材を活かしたビール造りを行っています。

(タイトル画像:Jon Parry / Unsplash


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